レイフルLei Huluの”フル”は、ハワイ語で”羽根”という意味。レイフルは羽根のレイで、フェザーレイとも呼ばれます。またレイだけでなく、帽子に巻くハットバンドや、棒の先に羽根飾りをつけたカーヒリなど、ハワイでは羽根の装飾品は、高貴な品として大切にされています。
若い島々であるハワイ諸島では、他の大陸と違って宝石が採れません。そのため、古代ハワイで一番美しく色褪せない小鳥の羽根で、酋長のマントや王族のレイが作られたのです。
ところがハワイ王朝が倒れ、アメリカの支配下に置かれて以来、フラやハワイ語と同じように、レイフルもその価値が失われていきました。
けれど、1970年代のハワイ文化復興運動を経て、再び見直されるようになり、今では最もハワイらしい装飾品のひとつとして大切にされ、フラダンサーが身につけるレイとしても広まっています。
今から50~60年前、人々がその価値も作り方も忘れかけていたレイフル。その復興に力を尽くしたのが、マリー・ルー&ポーレット母娘です。
故マリー・ルイーズ・カレオナヘナヘ・ケクエヴァ(左)は、「フェザーレディ」と愛称された方です。わずかにご存命だったレイフル作り名人から学び、娘ポーレット(右)と共に、古い文献や写真を手掛かりに、昔、作られていたレイやカーヒリ、マントを復元させてきました。
また、長年に渡ってイベントやビショップ博物館でレイフル作りの実演を行い、ハワイ各地のフラ・ハーラウ(教室)や学校で、ハワイの文化体験としてレイフルを教え続けました。
現在、フラに関わる人をはじめ、多くの人々が理解しているレイフルの価値は、お2人が長年持ち続けたレイフルへの愛情の賜物です。残念ながら、すでにお2人は他界されましたが、今でもハワイで敬愛されています。
お2人が大切にしたカパフル通りのレイフル店、Na Lima Mili Hulu No'eau。現在は、3代目のメレさんが継いでいます。
レイフルの作品、羽根や定規などの材料が購入でき、事前予約をすればレッスンも受けられます。(2024年現在、ワイキキに移転。詳細は後日お知らせします)
レイフルと店を継承したメレさん。アンティ・マリー・ルーの孫でポーレットの娘
【カーモエとポエポエ】
頭や首につけるレイフルは、ポエポエPoepoe(右)とカーモエKamoeという2種類があります。伝統的なスタイルで、王族の女性の装飾品でしたし、現代でもハワイ人の正装に用いられます。
【フムパパ】
帽子に巻くハットバンドは、フムパパHumupapaと呼ばれます。こちらは現代的なスタイルで、ハラの葉で編んだラウハラ帽子に欠かせません。
【カーヒリ】
カーヒリKahiliは古代から用いられた装飾品で、身分の高さや権力を示します。酋長や王族がお出ましになる時、2~3mの棒の先に羽根を飾ったカーヒリを持つ者が付き従い、身分の高さを誇示しました。
上の写真は、メリーモナーク・フェスティバルで王族に扮したロイヤルコートの入場シーン。チャンターに続き、カヒリ持ちの者が王族の前後を守ります。
下の写真は小ぶりなハンドカーヒリで、これも身分の高さの象徴です。
現代のハワイでは、大切な場所の印として教会や博物館、王族の肖像画の傍らに置かれるほか、フラ・ハーラウや自宅にも、祝福やお守り的なシンボルとして飾られます。